豚や牛に比べてくせがなく、安価なため調理で使いやすい、家庭の食卓にものぼりやすい肉類の一つが鶏肉です。ここでは、そんな身近な食材である鶏肉の、様々な情報をご紹介いたします。
食卓にのぼってくる鶏肉ってどんな鶏のお肉?鶏肉の部位の名称、それぞれに含まれる栄養には一体どんなものがあるの?保存する場合のポイントは?
そんな鶏肉の「豆知識」をみなさまの食生活にお役立て下さい。
鳥は小動物なので、牛や豚のように切り身で売られることが少なく、むね、もも、手羽など、部位のまま売られています。そのため皮や皮下脂肪が付いているかいないかなどで、栄養成分が大きく異なる。
基本的には、鶏肉はたんぱく質食品であり、アミノ酸バランスも牛や豚と比べて劣らず、極めて良質。また、牛肉の「サシ」のように筋肉の中に脂肪が入り込んでいることがないので、家庭での調理によって脂肪を取り除いたりすることが可能であり、栄養素やエネルギーのコントロールがしやすい食材といえるのです。
鶏肉は皮を取り除けば、非常に脂肪が少なくなり、牛や豚よりも良質なたんぱく質食品となります。
また鶏肉は消化・吸収率が約95%と高いので、消化力のまだ弱い幼児や、体力が低下したお年寄りにも、胃腸に負担が少なくスムーズに栄養補給していただくことができます。
鶏肉の脂肪は多くはありませんが、その脂肪には、いわゆる悪玉コレステロールとよばれるLDLを下げる働きをする不飽和脂肪酸が多く含まれているので、心臓病の予防効果が期待できると言われています。
現在流通している鶏肉のおよそ90%を占めているのが、ブロイラーです。
食肉専用、大量生産に適するように改良された鶏で、本来はブロイル(焼く・焙る)専用の鶏という意味がありましたが、現在では成長が早く肉づきのよい食肉専用鶏を総称してブロイラーと呼んでいます。
全体的に肉質が柔らかく、くせが少ないので、幅広い調理法がある。また脂肪が少なく低カロリーの食材であるということから、ローストチキンやフライドチキン、骨付き肉のグリルなどの食材として人気があります。
明治時代までに国内に定着した鶏(在来種)を改良し、平成十一年の日本農林規格にて指定されたものを地鶏と呼びます。
肉質は一般に、歯ごたえと独特の風味があります。
なお、店頭に並べられる地鶏の肉には、交配様式や生産者の氏名または名称及び住所を表示することが義務付けられています。
食用として飼育された鶏は、精肉として手羽、むね、もも、ささみ、皮、ハツ(心臓)、レバー、砂肝(筋胃)と八つの部位に分けられます。
各部位の位置は下図の通り。部位ごとに調理方法の向き不向き、また含まれている栄養価も異なります。
うでから羽先までの部分を手羽と呼びます。
このうち上腕の部分は手羽もと、またはウイングスティックともよばれ、手羽のなかでは一番胸肉に近く、肉が多くついています。肉質は柔らかく、淡白な味わいで、炒め物や揚げ物に適しています。
手羽から手羽もとを取り去った残りの部分が有名な手羽さきです。肉自体の量は多くありませんが、脂肪やゼラチン質が多く、濃厚な味わいでコクがあります。焼きとりをはじめ煮物や揚げ物料理に適しています。
手羽を取り除いた胸部の肉で、骨を取り除いた胸肉と骨つきのものがあります。たんぱく質が多く、皮を除くと脂肪が少ない白身肉です。
肉質は柔らかく、味は淡白な部位なので、上品な和風料理や、逆にしっかり味付けする中華風の炒め物などに適しています。
あしからもも、もものつけ根までの肉で、他の部位に比べると筋肉質なのでやや硬めで、色も赤みが強く、味もはっきりしています。
たんぱく質や脂肪が多く、鉄分は鶏肉中最大。骨なしと骨つきがあり、骨つきには、骨つきうわももと骨つきしたももがあります。
フライやソテー、蒸し物、煮込みなど、利用範囲が広い部位であり、骨の近くにいちばんうまみがあるので、フライや煮込みに骨つきを使うと、程よいコクを出すことができます。
牛や豚のヒレ肉に相当する部分です。胸肉に沿って左右に一本ずつあり、形が笹の葉に似ていることからこの名称が付きました。
たんぱく質が鶏肉のなかで最も多く、脂肪はほとんどありません。肉質は柔らかく淡白。日本では最上級の部位とされ、とり刺しなどによく使われます。
レバー、ハツ、砂肝は、精肉として特に焼きとりなどに利用される内臓で、これらにはビタミンやたんぱく質が豊富に含まれています。このうちレバーにはビタミンA、ビタミンB1、B2が豊富で。硬く締り弾力のある歯ごたえをしています。また砂肝には、たんぱく質が多く含まれ、コリッとした歯ごたえをしています。
首から腰までの骨はスープをとるときに欠かせない「がら」として、皮は、裏についてる脂肪をとり、さっと熱湯にくぐらせてから佃煮風に、あるいは焼きとりの材料として利用され、首の周りや下腹部についている脂肪は中華料理で使う鶏油になります。
新鮮で上質な鶏肉を見分けるためには、毛穴の周囲が盛り上がり、肉の厚みに注目しましょう。
鶏肉が一番おいしいのは、処理後八~七二時間の間とされています。あとは味が落ちる一方なので、とにかく鮮度が一番の問題です。
購入のポイントは、流通時間が短くてすむ地元の鶏を仕入れていて、よく売れて回転の速い店で購入すること。買ったら極力早く使い切るように心がけましょう。